移動平均線を使ったロジックの検証9 ~マルチタイムフレームでの順張り③
FX裁量トレードの手法を強化するためにEAを使ってロジック検証を始めたのですが、今ではすっかりEAに嵌っています。
自作EA作成のためにプログラムの勉強をしながら、ツールも使ってロジック検証を行っています。
ゴールが見えていて、こうやれば勝てますよって話ではありません。
勝てるロジックが無いかな?って探している最中の僕の検証状況をアウトプットしているだけです。
もしかしたらこの中に、みなさんにとってのヒントが有るかもしれないし、無いかもしれないし…
今回は移動平均線のマルチタイムフレーム分析による順張りロジックの検証第3章で、最終章です。
初めての方は、このシリーズ第1章からご覧ください。
前回終了時点では、相変わらずきれいな右肩下がりの状態です。
課題はいくつもあると思いますが、今回はレンジ部分を除外するためのフィルターを少し探ってみたいと思います。
課題の整理
条件の確認
これまでの流れは、複数時間足の移動平均線の傾きでトレンドを判断し、エントリーや決済の条件を変えて検証してきました。
現状は、トレンドが長く続くような場面では大きく獲れるが、トレンドの終盤やレンジ部分で損切りを繰り返し収支がプラスにならない状況です。
エントリーや決済の工夫でこの課題が解決できなかったので、トレンド判断部分を変えたりフィルターをかけてみるのはどうか?というのが今回です。
課題の確認
図1の左のような場面は良いが、右のような場面を除外したいという感じです。
図1
左の図では各MAの傾きが揃った状態が長く続き、トレンドが発生しているのが分かります。
右の図は、MAの向きが一定ではなく、トレンドがはっきりしない状態です。
しかし、瞬間的に各MAの向きが揃う瞬間があり、その際にエントリーしてしまうことが多々ある感じです。
その場合、天井ロングや底ショートになりやすいので、この部分を除外したいわけです。
トレンド判断を工夫する
トレンド判断条件の確認
トレンド判断には、4時間足SMA10、1時間足SMA10、15分足SMA10、5分足SMA10を使用していますが、判断を早めるために5分足に置き換えています。
実際には、5分足のSMA480、SMA120、SMA30、SMA10です。
主にトレンド判断には5分足SMA10以外の3本を使っています。
これまでは、各MAの傾きが揃ったらということで、5分足の1本前と2本前を比較し上がっているか下がっているかを判断していました。
図1左のような場面に絞るにはどうしたら良いか?という観点で、揃った状態が数本続くまで待ってみたり、各MAの上下位置関係などでフィルターをかけてみようと思います。
傾きの連続性を考慮する
これまでは、1本前が右上がりか右下がりを条件にしていました。
それを、2本連続、3本連続、4本連続となっている場合で判断するように変えてみます。
傾きの条件をきつくして、上下するような場面が排除できないか?という考えです。
具体的なデータは省略しますが、結果として一部は除外することができました。
しかし、それ以上の弊害がありました。
図2は、同じ場面で傾きの判断を1本、2本…と増やしていった時のエントリー一の変化を表しています。
図2
この場面では、一番上の1本の時のように獲れれば狙い通りです。
しかし、トレンド判断の条件をきつくすることでエントリータイミングが遅くなってしまいます。
これでは元も子もありませんね。
除外できている効果もあるので、2本までで採用してみます。
パーフェクトオーダーをフィルターにする
トレンド判断で傾きを見ているMAがパーフェクトオーダーになっているか?を判断条件に追加してみました。
2本連続MAが上向きで、1本前が下から480、120、30の時だけロングエントリー。
2本連続MAが下向きで、1本前が下から30、120、480の時だけショートエントリー。
という具合です。
これも具体的なデータは省略しますが、図3のようにレンジ部分での無駄撃ちは減らすことに成功しました。
左がパーフェクトオーダーの制限前、右が制限後です。
図3
しかし、パーフェクトオーダーが完成するまでに時間がかかるので、図2の時のようにエントリーが遅れることがあったり、獲れている場所も除外されてしまったりしています。
ただ、図2の時よりも獲れている場面がそのまま残っている事が多く見受けられます。
除外できた効果は大きいので、これを採用した状態で別のフィルターや決済の見直しをしてみます。
ここまでの状況で気になったことが2つありました。
1つは、図4のようにトレンドが長く続いていても細かくエントリーと決済を繰り返し、中には損切りになっているものもある、ということ。
細かく獲ることも狙ってはいるのですが、これは効率が悪いか…
図4
もう1つは、図5のように天井ロングや底ショートの場面がまだ残っているところです。
フィルターを厳しくしましたが、それでもすり抜けてしまった部分ですね。
図5
この2つの対策を考えてみます。
決済条件をMAとろうそく足のクロスに変える
図4の状態のように、トレンドが出たときは長く持てるように考えました。
1時間足SMA10を価格が上抜けたり、下抜けたりしたら決済というイメージで、5分足SMA120とろうそく足のクロスでの決済です。
結果は図6のようになりました。
図6
狙いに近い感じではありますが、ちょっと遅いかなぁという気もしますね。
ボリンジャーバンドでフィルターをかける
図5の対策として考えたのが、ボリンジャーバンドによるフィルターです。
図5にボリバンの1σを表示させてみました。
図7
同様な場面でも、1σの外側にエントリーポイントがある場合が多いので、これを除外してみます。
ただ、獲れる場面も減ることも想定されます。
ここまでの状況を、データで見ると図8の様な感じです。
図8
第2章の終了時点よりは良いかも知れませんが、全然ダメですね。
大元から考え直すのが早そうですかね。
とりあえずこの状態で最適化してみたら意外な結果になったので、それを見て終わりにしようと思います。
基本ロジック
・通貨ペア GBPUSD(ポンドドル)5分足
《ロング》
・SMA15、SMA300、SMA770が2本連続上向き
・1本前が下からSMA770、SMA300、SMA15の順に並んでいる
・ボリンジャーバンドの1σより下
・1本前の終値が過去2本前と3本前の高値より高い
・5分足のSMA300を下抜けるか、TP300 SL40 で決済
《ショートエントリー》
・SMA15、SMA300、SMA770が2本連続下向き
・1本前が上からSMA770、SMA300、SMA15の順に並んでいる
・ボリンジャーバンドの-1σより上
・1本前の終値が過去2本前と3本前の安値より安い
・5分足のSMA300を上抜けるか、TP300 SL40 で決済
バックテストについて
バックテストはOANDAのMT4、デューカスコピーのヒストリカルデータを使用。
全ティックで、スプレッドは1pipsに設定。
※全ティックと始値のみでほぼ同様の結果ですが・・・
2012年1月~2021年2月までの結果
図9
一応右上がり?にはなりましたが、2か所で大きく獲っている感じで他は良くありませんね。
年間の収支で確認してみます。
図10
収益の多くは2016年と2020年で獲った分のようです。
2016年はブレグジットや米大統領選、2020年はコロナ相場で大きく動いた場面があるので、そこでしょうね。
勝てている年もありますが、使える感じではないですね。
結果の考察と裁量トレードでの活用法
トレンド系のロジックを考える時にいつもぶち当たる壁に今回も阻まれてしまいました。
レンジ相場とトレンド相場の切り分けができません。
さらに、的外れな工夫ばかりだったようです
視点を変えなければイケないのかも知れませんね。
1分足や5分足レベルでの山や谷を獲りたいのですが、小さな上下に翻弄されてしまいます。
入り口をエントリー条件にするのではなく、次はノントレンドの除外から入る事を考えてみます。
まぁ、今回やって分かった事は蓄積されるので良いでしょう。
裁量トレードでの活用法
今回のシリーズで、そのまま使える部分は無いかも知れません。
ただ、EA化には不向きでボツになった事部分もあります。
他の環境認識と組み合わせる事で、使えるものもあると思います。
利確が難しい…という声も良く聞きますが、決済条件が分からない人などは今回出てきた条件でやってみるなんてのはどうでしょうかね?
もちろん検証は必要ですよ。
次のシリーズは移動平均線乖離率の予定です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
EA化について
今回のEA作成にはレッツリアルの無料ツールを使用しています。
また、プログラムの勉強とカスタマイズ性を考えて以下のサイトを参考に独自に改変も行っています。