移動平均線のクロスとエントリー①
色々なロジックをEA化して検証しています。
検証の過程も含めてアウトプットしているので、ゴールが見えていて、こうやれば勝てますよって話ではありません。
もしかしたらこの中に、みなさんにとってのヒントが有るかもしれないし、無いかもしれないし…
移動平均線(MA)のゴールデンクロス(GC)とデッドクロス(DC)に関する検証は以前にも行っていますが、今回は別の視点で検証します。
移動平均線のGCDCはよく使われるシグナルですし、僕もよく意識しています。
今回は、GCDCとエントリータイミングに焦点を絞って調べてみようと思います。
MAのGCDCとエントリータイミング
移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロス
移動平均線(MA)やゴールデンクロス(GC)、デッドクロス(DC)の詳細に関してはGoogle先生にお任せします。
一般的に、GCが上昇でDCが下降のシグナルとして使われます。
実際にはクロスのタイミングと値動きにいくつかのパターンがあり、それを考慮してロジックを考えなければなりません。
パターンについて、GCを例に説明します。
以下はユーロ円5分足にSMA20(赤)とSMA75(水色)を表示した図です。
パターンA1 GC後に価格が上昇する
トレンドの初動や序盤に見られる形です。
黄○でGCの後、価格はそのまま大きく上昇しています。
GCのタイミングでエントリーした場合、含み損にならずに大きく獲ることが可能な場面です。
パターンA2 GC後に旦価格が下がってから上昇する
トレンドの初動や序盤に見られる形です。
黄○でGCの後、一旦価格が下がってから上昇しています。
GCのタイミングでエントリーした場合、一旦含み損になりますが、大きく獲ることも可能な場面です。
パターンB GCとDCが短期間に繰り返される
レンジや揉み合いの場面で見られる形です。
黄○がGC、水色○がDCで価格は上下しています。
建値からやや含み損を推移する事が多く、細かい損切りを繰り返すか長く含み損に耐える形になりやすいです。
また、耐えた結果、狙いの方向に動き出すか逆行するかは分かりません。
パターンC GC後にDCが起こり価格が下降する
パターンBからの動き出し、下降トレンドの調整場面から再び下降を始めた時、反転の場面などに見られる形です。
黄○でGCの後、価格は下降を始め水色○でDCになり、そのまま下降していきます。
含み益になる時間は少なく、場合によっては大きく負ける場面です。
GCが買いのシグナルとして機能する場面
上記のパターンで、GCが買いのシグナルとして優位性があるのはパターンA1とA2です。
ただ、A2に関しては、GC後に一旦下降しているので、GC確定のタイミングが有効と言えるかは微妙です。
パターンBは最終的に上昇するか下降するかという問題で、最初のGCは関係なくなっています。
そして、パターンCは売りのシグナルと言えるぐらいの感じです。
MAのGCDCをシグナルとして勝てるかどうかは、それぞれのパターンの出現確率やパターンA1やA2での獲れ高とBやCでの損失とのバランスを見なければいけません。
BやCは負けのターンとして捨てて、A1やA2で大きく獲ることを狙った損小利大タイプとしてしか使えないのか?
それにしても、A1やA2を抜き出すかBやCを排除して絞り込むことでもっと期待値を上げられるかもしれません。
その辺りを考えていく上で、そもそもGCDC確定のタイミングがエントリータイミングとして優位性があるのかを調べてみました。
GCDC後の価格の挙動
上記のパターンを見ると、A1以外はGC確定のタイミングが直近の天井付近となり、ロングでエントリーしてもすぐに含み損になる事が多いです。
その割合が多いのであれば、そこでのロングエントリーは期待値を下げる事になります。
ということで、GCDC確定でエントリーした場合に数分後に含み益になっている割合を以下の様に調べました。
・通貨ペア EURJPY(ユーロ円)
・時間足 5分足
・GC確定でロングエントリー、DC確定でショートエントリー
・決済は5分後、10分後、15分後の3パターン
・一応SLTPはそれぞれ50pipsに設定
上記のロジックで、以下二つのSMAの全ての組み合わせで調べました
・短期SMA 3、5、8、10、15、20、25、30、…、195
・長期SMA 短期SMA+1~200まで1間隔
短期SMA3と長期SMA4~200
短期SMA5と長期SMA6~200 …
といった感じで、短期SMAを固定して長期SMAを変動させた最適化を行い、収支が一番良い組み合わせを抽出。
そして、その組み合わせでバックテストを行い勝率を求めました。
最適化やバックテストの期間は全て2015年1月~2021年9月末です。
スプレッドは0.8pipsに設定して行っています。
うーん、説明が悪くて伝わらなかったらごめんなさい。
統計結果
各組合せの勝率一覧です。
収益が一番良い=勝率が一番良いとは限らないので、もう少し勝率の高い組み合わせもありますが、そんなに差はないです。
突出してどこかが良いというわけではありませんね。
収支は全てマイナスです。
決済時間ごとの平均を見てみます。
決済までの時間が長いほど勝率が上がっています。
ちなみに、上記の中で一番勝率が高い組み合わせのバックテスト結果です。
ここまでで分かる事
ここまでの結果を見るとGCDCがダメなように見えるかもしれませんが、そういうわけではありません。
大きく伸びる部分が獲れる様に決済条件を考えれば、右肩上がりのロジックもできます。
今回見ているのは、大きく伸びる部分の割合やGCDC確定直後の挙動です。
そういった観点でデータを見ると3点ほど特徴に気が付きました。
・長期SMAの期間は、調べた範囲の中で最大の200付近が多い。
調べる範囲を広げたらどうなるか試さなければ分かりませんが、MAのクロスを考える場合、1本は期間が大きめの方が良さそうです。
・クロス確定でのエントリー直後の勝率は40%前後
パターンA1の割合は40%の中にほぼ含まれるが、40%よりも低い。
スプレッドも考慮しなければいけませんが、15分経ってスプレッドで負けているようじゃパターンA1の形ではありません。
そして、パターンA2、B、Cの一部もこの中に含まれているので、40%の全てがA1とは考えられません。
・時間の経過とともに僅かですが勝率が上がっている
すべての組み合わせでこの傾向が見られるので、クロス確定のタイミングでエントリーすることの優位性が疑わしいと思います。
ただし、タイミングを遅くした場合、A1でロスが発生することになります。
ならば、タイミングをずらすよりもA1やA2に絞り込むことを考えた方が効果的かも知れません。
いずれにしても、無駄なエントリーが多いということが分かりました。
ただ、通貨ペア、時間足、移動平均線の期間の範囲、移動平均線の種類等を変える事で違った傾向が見られる可能性があります。
今後、これらを調べていくことになります。
今回は最後に1つ気になることを確かめて終わりにします。
プラスになるロジックのMAの組み合わせでも同じことが言えるか?
エントリーは同様にクロス確定のタイミングにし、決済方法を変えてプラスになるロジックを作ります。
その時のMAの組み合わせで上記の検証を行った場合に、どのようなデータになるか調べます。
用意したサンプルロジックはこちらです。
・通貨ペア EURJPY(ユーロ円)
・時間足 5分足
・SMA200とSMA345
・GC確定でロングエントリー、DC確定で決済
・DC確定でエントリー、GC確定で決済
・SL 130pips、TP 145pips
勝率が40%ですね。
このMAの組み合わせで5分後、10分後、15分後に決済した場合の勝率を確認しました。
5分後 38.60%
10分後 41.15%
15分後 43.08%
上の検証結果と同様の数値が得られました。
パターンB、Cでの負けをA1とA2の勝ちが上回る損小利大のロジックであろうと想像できます。
ということは、A1やA2に絞り込みができればもっと良いロジックになりそうです。
まとめ
今回の検証を始めたきっかけは、GCDC確定のタイミングが値動き的には直近の天井や底付近になることも多いと感じたからです。
そうだとするならば、エントリータイミングをクロス確定からずらせば良いのでは?という発想です。
ここまでの検証を終えて、パターンA1やA2に絞り込めばよいことを再確認できました。
絞り込む方法として、エントリータイミングをクロス確定時点からずらすということもアイデアの一つになりそうです。
先ほども述べたように、通貨ペア、時間足、移動平均線の期間の範囲、移動平均線の種類等を変える事で違った傾向が見られる可能性があります。
とりあえず、その辺りを一通り調べるのが次の段階かなと思います。
この続きはこちら。
最後までお読みいただきありがとうございます。
EA化について
EA作成にはレッツリアルの無料ツールを使用しています。
また、プログラムの勉強とカスタマイズ性を考えて以下のサイトを参考に独自に改変も行っています。